ここdeサーチの経営情報報告は
「年度末に集める仕事」にしない
保育園の経営情報を報告する制度が始まると聞くと、「年度末に必要な数字を集めればいい」と考えたくなります。でも、複数園を運営してきた立場から見ると、年度末に集める前提の仕組みほど、現場と本部の負担を大きくしやすいと感じます。
私は15年間、保育園の運営に携わり、6園まで事業を広げました。決算資料は法人全体でまとまっていても、施設ごとの収支、人件費、職員配置を急に出そうとすると、別々の資料を照合する作業が発生します。日常の会計、給与、勤怠、職員情報が別々なら、年度末だけ一つに見せようとしても簡単ではありません。
結論は、ここdeサーチの経営情報報告を「報告のための年1回の仕事」にせず、普段の会計・給与・配置を施設単位で整えた結果として数字が出るようにすることです。
制度上も、経営情報を継続的に見えるようにする方向です
ここは私の経営論とは分けて、制度上の事実として整理します。
こども家庭庁は、保育所等における「継続的な経営情報の見える化」を進めており、施設向けFAQ、説明資料、ここdeサーチの操作マニュアルを公開しています。制度では、収支だけでなく、人員配置や職員給与など、保育園経営を複数の側面から見るための情報が扱われます。
つまり、会計ソフトの決算数字だけを取り出せば終わる報告ではありません。経営情報を正しくまとめるには、会計、人事、給与、配置といった複数の情報が同じ施設単位で整理されている必要があります。
複数園を運営すると、本部で会計をまとめるのは合理的です。ただ、法人全体の数字が揃っていることと、A園・B園・C園それぞれの経営状況が日常的に見えることは別です。
家賃や本部共通費、人件費、補助金、給食費、保育材料費など、どの施設にどこまで配賦・計上するかが曖昧なままだと、年度末に施設別収支を作るときに確認が増えます。だから報告前に帳尻を合わせるのではなく、普段から施設単位でデータを持つ方が後が楽になります。
「会計は本部、園は小口現金だけ」では、現場に数字が戻らない
よくある体制は、本部が会計処理を担当し、園では小口現金だけを管理する形です。役割分担としては効率的ですが、それだけだと園長は「今月あといくら使えるか」を把握しにくくなります。
私は、経営情報報告への対応をきっかけに、ここを変えた方がいいと考えています。園長が仕訳をする必要はありません。でも、予算と実績、保育材料費の残り、人件費の動き、大きな支出の予定くらいは、園運営の判断材料として見えた方がいい。
経営情報を国へ報告するためだけに整えるのではなく、園長が今日の運営に使える形で数字を戻す。その方が、報告のために集めた数字が日常でも生きます。
給与と配置が別システムなら、年度末にまた照合が必要になる
経営情報の見える化では、収支だけでなく職員給与や人員配置も関係します。ここが会計だけでは完結しない理由です。
たとえば人件費は会計に出ていても、どの職種が何人いて、どの施設へ所属し、どのような勤務実績だったかは人事・勤怠側にあります。給与総額は給与システム、配置人数はシフト表、職員属性は職員台帳。これが全部別なら、報告時に同じ人を別資料から数え直します。
逆に、職員マスタ、シフト、勤怠、給与、会計が同じ施設IDでつながっていれば、報告用の数字を一から作る必要はありません。日々の処理を正しくしておけば、年度の集計はその結果になります。
会計、給与、配置が別々になっているほど、年次報告で資料探しが増えます。自園の運営データがどこで分断されているかを整理すると、先に直す場所が見えてきます。
1分で無料診断する日常会計を「報告の元データ」にする
理想は、年度末に経営情報報告のためだけのExcelを作ることではありません。
日々の収入と支出を施設別に記録する。現金出納、預金、未収金、補助金、利用料、保育材料費、給食費、修繕費などを普段から整理する。給与が確定したら人件費として連携する。職員配置はOffice側のデータを使う。月次で予算と実績を確認する。
この流れができていれば、年度末に必要なのは「数字を作ること」より「数字を確認すること」になります。ここは大きな違いです。
報告のためだけのシステムにすると、年1回しか価値が出ない
ここdeサーチへの対応だけを目的にシステムを作ると、報告時期以外はほとんど使われません。それでは導入する理由が弱い。
私はHoiku Poppyの会計管理を、年次報告ツールではなく、毎日の予算と会計を管理した結果として経営情報報告にもつながる仕組みにしたいと考えています。
園長は「今月あといくら保育材料に使えるか」を見る。本部は施設別の予算消化を見る。給与が確定すれば人件費へ反映される。年度末にはそのデータから報告項目を確認できる。日常業務と制度対応を同じ数字でつなぐことが重要です。
自動送信より先に、「正しい数字をすぐ出せる」こと
システムを作ると、すぐ「ここdeサーチへ自動送信できないか」と考えたくなります。でも、公式に認められていない連携を勝手に前提にするべきではありません。
まず必要なのは、公式の入力項目やマニュアルに合わせて、必要な数字を施設ごとに正しく確認できることです。転記が必要なら、その順番で表示する。コピーしやすくする。元データへ戻れるようにする。これだけでも年度末の負担はかなり違います。
自動化は、公式な仕様や連携方法が確認できたところから進めればいい。順番を逆にしない方が安全です。
ここdeサーチの経営情報報告は、年度末に別資料を集めて作る仕事にしない。日々の会計、給与、職員配置、予算を施設単位で整え、その結果から報告項目が出るようにする。そうすれば制度対応だけでなく、園長と本部が同じ数字で日常の運営を考えられるようになります。
Hoiku Poppyの会計管理は、本部と園の予算・会計をつなぎ、日常業務の数字を経営情報報告へつなげることを目指しています。
無料診断へHoiku Poppyを始める制度確認に使った一次情報
経営情報の見える化とここdeサーチに関する制度上の記述は、著者の経営・システム設計上の考え方とは分け、こども家庭庁の公開情報を確認しています。報告項目や運用は更新される可能性があるため、実際の提出時は必ず最新資料を確認してください。
保育所等における継続的な経営情報の見える化(こども家庭庁)
子ども・子育て支援情報公表システム「ここdeサーチ」(こども家庭庁)
よくある質問
ここdeサーチの経営情報報告は、年度末だけ準備すればよいですか?
提出時の確認は必要ですが、元データを普段から施設別に整理しておけば、年度末の再集計や資料探しを減らせます。
会計データだけで経営情報報告は完成しますか?
会計だけでは足りません。給与や職員配置など別領域の情報も関係するため、会計・給与・人事を同じ施設単位でつなげておくことが重要です。
Hoiku Poppyの会計管理からここdeサーチへ自動送信するのですか?
現時点では、公式システムの入力項目に合わせて確認・転記しやすい形へまとめることを基本とし、公式に確認されていない自動送信を前提にはしません。
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