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保育園でAIをどう使う?
「AIに任せる仕事」と「人が決める仕事」を分けて考える

2026年9月1日

保育園でAIを使うなら、最初に決めるべきなのは「どのAIを入れるか」ではありません。先に決めるべきなのは、何をAIに任せて、何を人が判断し続けるのかです。

私は日本で15年間、保育園の運営に携わり、6園まで事業を広げました。その経験から断言できるのは、保育園の仕事の多くは「正解らしい文章を返せれば終わり」ではないということです。職員の勤務条件、配置、保護者との関係、園の方針、採用、予算。どれも、その園の事情を知らなければ判断できません。

だから、AIが保育園を運営する未来を目指す必要はありません。AIは園長や主任の代わりでもありません。園長や主任が事務作業に追われず、子どもたちと関わる時間を持ち、先生たちの保育を支える時間に充てられるようにする手段です。

AIに向いているのは、「考える前の作業」を減らすこと

たとえば、おたよりの下書きをゼロから書く。求人文章のたたき台を作る。複数の数字から変化を拾う。ホームページの記事案を整理する。こうした仕事はAIと相性がいい。最終確認は人がするとしても、白紙の状態から始める時間を大きく減らせます。

ここで大事なのは、AIに「決めてもらう」のではなく、判断材料を早く整えてもらうことです。文章なら園の言葉に直す。数字なら、なぜ変化したのかを現場で確認する。AIの出力を完成品ではなく、判断のスタート地点として扱う。この距離感が、保育園でAIを実務に定着させるうえで重要です。

私が考える基本線

文章の下書き、要約、分類、データからの気づきの抽出はAIへ。一方で、職員配置、勤務の公平性、採用判断、園の方針など、人や現場に直接影響する決定は人が責任を持つ。

シフト作成は「AIに全部お任せ」でうまくいく仕事ではない

分かりやすい例がシフトです。「必要人数を入力したらAIが自動で作ります」と言うのは簡単です。でも実際の園では、それだけでは足りません。

正規職員の早番や遅番が一部の人に偏っていないか。土曜勤務の回数は公平か。土曜に出た週の振替休日をどうするか。個々の勤務可能時間はどうか。調理職員は別の条件で考える必要がないか。そして当然、時間帯ごとの配置を満たしているか。シフト表の一つひとつのマスの裏に、人の生活があります。

「配置基準を満たした」だけで、良い配置とは限らない

Hoiku Poppyで、シフトだけではなく時間帯ごとの配置状況まで確認できるようにしようと考えたとき、最初は「配置基準を満たしているかどうか」を確認できることが目的になっていました。でも、そこで違和感がありました。

配置基準は、あくまで最低基準です。基準ぴったりに人がいれば、それ以上の配置は不要という意味ではありません。少し余裕のある配置ができれば、気になる子に一対一で関わる時間をつくりやすくなります。クラス全体を見ながら、一人の子に丁寧に寄り添う余白も生まれます。先生同士にも、ほんの少し呼吸できる時間が生まれます。

こういう「最低基準を超えた余裕を、保育の質にどうつなげるか」という感覚は、単に法令や人数だけをAIに渡しても出てきにくい部分です。だからこそ、配置基準を守ることはプログラムで確実に担保しつつ、早番・遅番・土曜勤務の公平性、振替休日、職員ごとの勤務条件、そして少しでも余裕が生まれる配置まで含めてロジックを組む。その方が、現場に寄ったシフトを作れます。

こうした条件はAIの「感覚」に任せません。まずルールとして定義し、プログラムで必ず守る部分を作ります。そのうえで、複数の成立案の比較や、偏りの発見、管理者への説明などにAIを使う。つまり決定論的なロジックとAIを分けるという考え方です。

AIが賢くなればなるほど全部を任せたくなりますが、保育園では「なぜこのシフトになったのか」を説明できることも大切です。先生から「どうして今月は私だけ遅番が多いんですか」と聞かれたとき、「AIがそう決めました」では運営になりません。

自園では、どこから効率化できそうですか?

Hoiku Poppyの無料診断では、園の状況から改善余地を整理できます。いきなりシステムを入れるためではなく、まず課題を見えるようにするための診断です。

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国が進めている保育DXも、「現場の負担を減らす」が中心にある

これはAIだけの話ではありません。こども家庭庁は、給付・監査事務などを標準化・電子化する「保育業務施設管理プラットフォーム」を整備し、保育現場と自治体の業務負担軽減・効率化を進めています。2026年度以降の全国展開も進められています。

また、保育分野の省力化投資ではICT導入支援や保育ICTラボなどが位置づけられています。つまり、デジタル化そのものを目的にするのではなく、事務作業を減らし、限られた人がより本来の仕事に向き合えるようにする方向です。

私はここにAIを重ねています。保育の質をAIに委ねるのではなく、保育の質を考える人の時間を取り戻す。園長や主任であっても、事務処理のために現場から離れ続けるのではなく、子どもと関わり、先生の保育を見て、相談に乗る時間を取り戻す。そのためにAIは大きな力になります。

「AI機能が多いサービス」より、「AIを使わない判断ができるサービス」

保育業界でも「AI搭載」を掲げるサービスはこれから増えていきます。でも、AIを付けられる場所すべてに付ける必要はありません。

単純な条件判定なら普通のプログラムの方が速く、結果も安定します。毎回同じルールで処理すべきものを生成AIに聞けば、コストが増えるだけでなく、出力の揺れも生じます。一方で、文章のように正解が一つではない仕事や、大量の情報から傾向を探す仕事ではAIが生きます。

この線引きは、Hoiku Poppyを作るうえで欠かせません。「ここにもAIを付けられる」ではなく、「ここはAIである必要があるのか」と先に考える。その方が現場で長く使えるシステムになります。

最後に。AI導入の目的を「AIを使うこと」にしない

保育園に新しいシステムを入れるとき、機能の多さに目が行きがちです。でも現場から見れば、システムが一つ増えること自体が仕事を増やす場合もあります。

AIも同じです。導入後に園長の確認作業が増えたり、先生がAIに入力するための作業を新しく覚えたりするなら、それは効率化とは言えません。

目標はAIを使っている園になることではありません。園長や主任の事務時間が減って、子どもたちと関わる時間が増えた。先生の保育を支える時間が増えた。先生同士の不公平が減った。採用で園の考えが伝わりやすくなった。予算のことを現場と本部で話せるようになった。そういう変化が起きて、初めてAIを入れた意味があります。

AIが保育園を運営するのではなく、人が保育に向き合う時間を取り戻すためにAIを使う。保育園のAI活用は、この考え方から始めるべきです。

まず、自園の課題を整理するところから

Hoiku Poppyは、ホームページ・採用・運営・会計をつなぎながら、AIを使うべきところと使わないところを分けて設計しています。

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参考にした公的情報

制度・政策に関する記述は、著者の経験・意見とは分け、以下のこども家庭庁の公開情報を確認しています。

「保育業務施設管理プラットフォーム」に関する情報(こども家庭庁)
保育(こども家庭庁)

このブログについて

Hoiku Poppy

Hoiku Poppyは、15年間・最大6園の保育園経営で向き合ってきたシフト、勤怠、職員採用、園の情報発信、予算管理の課題をもとに開発しています。

このブログでは、園運営の経験をもとに、先生たちの仕事を減らすための考え方を伝えています。

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